九大柔道部のOB・OGの会です。我々は高専柔道の流れを汲む寝技を主体とした柔道を通じ、会員相互の交流を行うとともに、九大柔道部の支援を行っています。
九州大学柔道部部長就任のご挨拶 (七大戦に向けて)
平成27年6月1日
部長 森田 浩介(昭和54年卒)
この年度末、おめでたくもお元気でご 定年を迎えられた小宗前部長に変わりま して、伝統ある九州大学柔道部の部長に 就任いたしました森田浩介です。小宗先 生には長い間部長としての活動、たいへ んご苦労様でした。心より感謝いたして おります。どうもありがとうございます。 偉大な部長諸先生方の後を継ぎますこと を私は大変な重荷に感じておりますが、 本学の教官として着任できました幸運を 考えますとお引き受けせざるを得ないと も感じております。
私は昭和五十年入学五十四年卒業組の 一人です。柔道は大学に入ってから始め ました。もともと運動神経が鈍くセンス もありませんでしたので引退するまで強 い選手にはなれませんでしたが強い先輩、 同期、後輩にまみえる幸運に恵まれ、昭 和五十二年度、五十三年度の七大学戦に おいて連続優勝の栄光に浴することができました。一緒に汗を流した仲間や常に 応援してくださった先輩諸兄、部長、コー チのおかげで充実した柔道部生活を送る ことができましたことを心より感謝して おります。皆様から頂きましたご恩に報 いるために、微力ではありますが学生柔 道の発展のため誠心誠意努める所存でご ざいますので、皆様にはご指導ご鞭撻の ほどよろしくお願い致します。
さて仙台において開催される第六十四 回七大学柔道優勝大会もあと二カ月足ら ずと差し迫ってきました。選手諸君はそ れぞれの課題について自分なりに分析を 行い、問題の克服に努めてきたと信じて おります。私は諸君の試合や練習の様子 をつぶさには見ることができなかったこ ともあり、個々の課題について云々する ことはできません。選手諸君は、現時点 でコーチ、監督、副部長、諸先輩方に指 導されたポイントを整理し、残された時間は少ないですが、試合において最大の 効果を上げるための練習を工夫して行っ てください。また自覚しているとは思い ますが、怪我にはくれぐれも注意してください。柳原主将のもと、心を一つにし て闘志を奮い立たせ是非とも優勝を勝ち 取るという意気込みで頑張ってください。
先輩諸兄、指導者の先輩、先生方には 一層のご支援ご指導をよろしくお願い致 します。 以上
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第63回全国七大学柔道優勝大会観戦記
平成27年6月1日
副部長 濱中 大介(平成11年卒)
平成二十六年度の第六十三回七大戦 は、六月十四、十五日両日、京都市左京区 の京都市武道センター(旧武徳殿)にて 開催された。平安神宮と同じ敷地内の武 徳殿は、言わずと知れた高専柔道発祥の 地としても有名であり、 南側弓道セン ターとの間には、「高専柔道之碑」が鎮座している。ここ数年は、現役学生は寝技 錬成大会等における講習会・試合会場で もあることから馴染み深い場所だと思う が、当方、恥ずかしながら初めて足を踏 み入れることとなった。
十三日金曜日午後に格安航空会社に搭 乗して関西空港、そこから高速バスで京都駅、さらに地下鉄で四条駅まで乗り、 歩いて十分程度で宿泊施設であるコー プ・イン・京都へ。ホテルへの到着後は、 ほとんど時間差なく新幹線移動してきた 現役と合流。ともに福岡空港からはトータルで三時間半くらいであろうか。同じ 三時間半でも新幹線を利用するのが便利 だが、片路三千円という破格の航空券を 目の前にして空路即決してしまった自分 の決断力を恨むばかりである。ホテルで の合流後は四時過ぎ開始を予定している 主将審判会議に羽田野会長、平島監督、主将井手、主務柴田と参加した。会場で は主審・副審を依頼した森村、安元、山 本も待機していた。前回大阪大会での反 省をいくつか議論した後、運命の対戦抽 選であるが、一回戦は東北大との対戦と なった。二五年度大会も東北大が一回戦 の相手であったが、その際は二人残しで 敗れているため、昨年のリベンジを、と気合を入れて宿舎に戻った。
宿舎に戻り、食事を済ませた後は恒例 のオーダー会議である。今年度九大の布 陣は四回生五名、三回生四名、二回生四 名、一回生三名計一六名を登録した。昨年度の四回生が一〇名卒業したことで、 大きく戦力ダウンであるとともに、三年 生片上は急遽入部、一年生の遠藤、比山 は仮入部ということで、選手層として厚 みがあるとは言い難く、尚更ながら四・三 年生の取役は十二分に力を発揮して最低 でも一人、できれば二人程度は勝ち抜か なければ勝利は難しいことが予想される。 なお、登録選手は左記の通りである。
四年 井手亮、鹿倉、柴田、高木、伴
三年 井手智、稲富、片上、柳原
二年 井上、加藤、小西、中村
一年 遠藤、比山、村上
このうち、取役としては四年生の井手 亮、鹿倉、柴田、高木、三年の井手智、 柳原、二年の加藤、中村であり、いずれ も練習量は十分で、確実に勝利あるいは 最低でも引き分けとならねばならない。 稲富、小西は寝技の防御力も高く、相手 校の取役を確実に止める役割が求められ る。練習量は少ないが、立ち技の切れが 良い伴、片上、遠藤、比山、村上には、 不用意に相手のペースで試合することなく、得意の立ち技で勝負することが期待 される。二年生の井上は途中入部の初心 者であるが、練習中にも初心者とは思え ない非常にセンスの良い動きを見せてい る。ただ、経験値という意味では他部員 と比較してやや少ないため、今大会では バックアップとして試合出場者のサポー ト役として試合に参加させることとした。 オーダー会議は夜九時頃から、羽田野 会長、平島監督、仲原事務局長、山本次 期監督、四年生全員、濱中で開催した。 一回戦の相手は先述の通り東北大学である。東北大学は昨年度優勝校であり、伝 統的に非常に堅実で隙の無い柔道が持ち 味である。昨年度優勝の立役者であり、 実力者の三浦や及川は引退しているもの の、兼子、廣川をはじめとした取役実力 者は健在であり、おそらく彼らに鍛えら れたであろう引き分け役も揃い、昨年に 引き続いて優勝候補といえるであろう。 いくつかのオーダーを議論したが、四年 生の提案を基本として、前半に加藤、高 木、中村を配し、できれば前半は同点と して、後半に鹿倉、柴田、井手亮でリー ドすること、また取役の間々に実力・経験にやや不安がある選手を配することで、 敗れたとしても二名連続で取られないよ う、バランスの良いオーダーとして十一 時頃に就寝とした。
翌朝は七時過ぎに会議室に集合し、羽 田野会長からオーダーの発表後、全員で 会場に向かった。余談ではあるが、今回 の宿泊ホテルは一般的なビジネスホテル と同様の設備であり、昨年度の宿泊で個 人的に懸案だった朝食についても質・量 ともに十分であったと思う。一回戦の相 手である東北大と同じ宿舎であるため、 朝食時には何となく落ち着きの無い雰囲気ではあったが、それも勝負のうち、ハー トで負けないトレーニングでもある、と ポジティブに考えるべきだろう。
午前九時前に全員着替えを済ませ、準 備運動、打ち込み他、申し合わせ稽古を 消化した後、開会式となった。本年度の 来賓は、東海大学柔道部師範である佐藤 宣践先生であり、祝辞を頂戴した。昨年 度の山下泰裕先生と同様に柔道界の重鎮 である先生方から言葉を頂戴できるのは、 高専柔道という独特のルールを弛まず追 求する姿勢、さらには我が国の将来を担 う七大学所属の学生に対する期待の表れ だと思う。私自身もその出身者の端くれとして恥じることのないように日々精進せねば、と思った次第である。
対東北大戦は一回戦B試合であるため、 開会式直後に開始である。先鋒・加藤は 東北大先鋒・木村に対して序盤は果敢に 攻めるが、背後に回られた後にSRTか ら縦四方固めで抑え込まれ、先方戦での 痛い一敗となった。続く次鋒・遠藤も立 ち技から寝技に移行した際に、同じくS RTから縦四方固めにて抑え込まれてし まい、九大は二点のビハインドとなった。 中堅まで引き分けが続いたが、比山が東北大取役の兼子に合わせ技にて一本取られる。続く鹿倉は取り返したいところだ が両者決め手なく引き分けとなった。後 半で柴田、井手亮で何とか取り返したい ところだが、相手を仕留めきれずに引き 分け。副将・柳原、大将・小西は、東北 大廣川のSRTからの縦四方、崩上四方 にて連続して失点し、九大は五人残しで 敗戦となった。一同落胆の色は隠せない が、気持ちを切り替えて敗者復活を勝ち 残って次に繋げなければならない。
敗者復活戦は、大阪大学に敗れた北海 道大学である。昨年も敗者復活戦で対戦 し、九大の準決勝進出を阻んだ相手である。先鋒・井手智は引き分けたものの、 次鋒・ 遠藤は、 北大主将の森本に開始 早々に足抜きの状態となり、粘ったもの の上四方固で抑え込まれる。続く中村は 立ち技寝技で攻め立てるが決め手なく引 き分け。続く一年生・村上は、北大取役 の清野に抑え込まれ、九大二点のビハイ ンドとなった。柳原は清野を取り返した いところだが、決め手なく引き分けたが、 続く一年生・比山は、開始早々に相手が 引き込むところをタイミングよく大内刈 りで合わせて一本取り返す。しかしなが ら、次戦は技ありを取られてからの抑え込みで一本取られてしまう。ここで主将・ 井手亮の登場であり、何としても二人程 度は取り返したいところであったが、決 め手なく引き分けてしまう。その後、稲 富が不十分な引き込みから腕をからめと られて縦四方で抑え込まれる。さらに伴 も横四方で取られ、北大・石倉に二連敗 となった。疲れの見える石倉を柴田は仕 留めたいところだが、仕留めきれずに引 き分け。片上、高木、鹿倉も果敢に攻め るものの、一本を取るには至らず、最後 は大将・小西が引き分けて、四人残しで 九大は敗れ、一日目での敗退が決定した。
二試合を通じて、経験不足の一年生が敗 れることは、少なからず予想できるもの であったが、三年生以上で一勝もするこ とができなかったばかりか、敗れてしま うことが大きく影響したのは間違いない。 さらに言えば、同じような技、たとえば SRTや腕の召し取られ等、相手の技や 攻防における要所を押えることができず、 対応できなかったことが敗因でもあるだ ろう。そういう意味では、本大会での九 大柔道は非常に淡泊であったと感じた諸 先輩方も多かったかもしれない。一年間、 比較的多くの時間を学生とともに汗を流した人間として、どのようにアドバイス すべきか、私としても反省しなければな らないと感じた次第である。
大会は九大に勝利した北大が、次戦で 京都大学に五人残しで勝利して敗者復活 戦を勝ち抜くこととなった。準決勝は東 北大対東大、大阪大対北大となり、それ ぞれ二人残しで勝利した東北大と大阪大 での決勝戦となった。決勝では大阪大学 の四年生の奮闘により、大阪大学が四三 年ぶりの優勝を果たした。女子は北大、 東北大、名古屋大三チームのリーグ戦で 行われ、北大が優勝となった。
試合中はもとより、九州をはじめ遠方 から会場まで応援に駆けつけて頂きまし た沢山の諸先輩方には、声援のみならず、 多大な支援を頂きまして本当にありがと うございました。また、前夜祭、慰労会 をはじめ、京都で様々なイベントをご手 配頂いた関西道友会の諸先輩方におかれ ましては、昨年の大阪に引き続いて大変 お世話になりました。誌面を借りまして 厚く感謝申し上げます。
四年生は本当にお疲れさまでした。試 合は残念な結果となりましたが、柔道部 での経験、先輩、後輩、そして同輩を財 産に、それぞれの分野で大きく羽ばたくことを祈念しています。 平成二十七年度は、新主将・柳原君を中心に、東北大学主管、宮城県武道館で 開催される六十四回大会優勝に向けて、 毎日厳しい稽古に臨んでおります。部員 不足や怪我に悩まされながらも、各人が 着実に地力を付け、技を磨き、仙台に乗 り込んでいく所存です。諸先輩方におか れましては、今後も変わらぬご支援ご指 導ご鞭撻のほど、宜しくお願い致します。 とくに、平成卒業の若手諸先輩には、遠 慮なく道場に足を運ばれまして、現役学 生に稽古を付けて頂ければ幸いです。
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