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文学部同窓会

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会長あいさつ

ご挨拶

船津 正明

 文学部同窓会員の皆様にはますますご健勝にてお過ごしのことと拝察いたします。

 我が国は、平成二十三年三月十一日に東日本大震災、平成二十四年は九州北部豪雨という大災害を受けました。大震災では、福島の原発事故を併発し、国民は、未だ癒されない毎日を送っています。自然を前にして人間がいかに無力かを知らされた思いがします。

 「九大百年」の行事も大震災の影響を受け、一年延期され、平成二十四年五月に開催されました。この行事に 参加して、九大創設の原点を考え、改めて振り返ることが出来ました。

 文学部同窓会は、「九大百年」の記念行事進行に合わせて、着実に同窓会本来の仕事を行ってきました。総会については、前回は記念行事の一環として開催しましたので、今回は、前回とは異なり、福岡市博物館で展示されている「幽霊・妖怪画大全集」の鑑賞をメインとして開催しました。まずその概要をご報告します。

 総会行事は例年どおりに行い、つつがなく終わることが出来ました。次いで福岡市美術館学芸課長中山喜一朗 氏による展示内容を中心とした解説を受講しました。このことにより、展示内容について、より専門的に鑑賞の予備知識を得ることが出来ました。

 総会終了後、同窓会奨学金の授与式を行いました。今回は、美学・美術史の博士後期課程三年都甲さやかさん と、考古学の博士後期課程三年森貴教君に授与しました。

 研究課題は、都甲さんは、「文徴明における呉派文人山水画の形成と石湖」、森君は、「石器生産流通からみた 弥生社会の研究」でした。受賞後、それぞれ研究内容を発表しました。ご両人のますますの精励努力を期待します。

 展示の鑑賞終了後、会場を移動して、懇親会を開催し、和気藹々のうちに全てを終了しました。この会を世話 頂いたインド哲学史、考古学、比較宗教学の三講座の関係の方に深く感謝申し上げます。

 九州大学広報専門委員会から発行されている『九大広報』には、「新聞で報道された九州大学」として一か月 毎にまとめて掲載されたページがあります。さすが九大と思われるほど、大体一か月一ページ位の分量です。それを見ますと、医学・工学部関係の理工系の記事が多く、文系の記事は稀にしか見ることが出来ません。もちろん文系と理系とは学問自体が異なるので一律にはいかないと思い、納得しながら見てはいます。

 そこで標題の「原点」を考えます。私は国語教育学を専攻していますが、内容は学校教育の高等学校以下の科 目「国語」に代表される学問です。一般的には、小学校から「国語は大切だ」「国語に意を注げ」等いわれています。それなら大事にされているかと言いますと、必ずしもそうとは言い切れない気がしています。社会に出て からは、国語科の「話す・聞く・書く・読む」が生活の原点となっているはずです。このことは、常に問題として銘記しておく必要があると思っています。「国語」の教科書はあらゆる分野から採録されています。その内容 を学問的に総括し、完成の域まで発展させているのが我が文学部であると思います。そしてその延長として、文学部同窓会があります。研究を目的とした会ではありませんが「、原点」を考える時、ここまで繋がっていると思っています。

 この点を勘案して、この一年間同窓会の会員を増やす運動を展開してきました。まず、文学部の大学当局の全 面支援を頂き、入学式当日の午後に、文学部の入学生のみを対象に開催される式典で、今までは例がなかった同 窓会長の祝辞と挨拶の時間を設定して頂き話すことが出来ました。文学部の関係の方々に厚くお礼申し上げます。

 次に、二年生には、進級時の四月のオリエンテーションの時、時間が制限されている中に、会長挨拶と事務局 からの連絡の時間を確保して頂きました。さらに卒業式当日も会長挨拶を組み込んで頂き、祝辞とともに同窓会 入会の話をすることが出来ました。

 これらのお陰からか、昨年より十二名の入会の増加をみました。ただ、文学部入学者百六十七名中の入会者 百二名ではまだ全員入会の目標には程遠いのが実情です。

 同窓会に入会していなくては大学卒業後の大学のことは、報道機関の報道以外は、何も解りません。入会した 人には、毎年『(文学部同窓会の)会報』が送られてきます。この会報には、大学全体のこと、文学部のことが 掲載されています。それに、他の大学には類を見ない「研究室だより」があり、現在、どの講座でどういう先生 が何を教えてあるかが解ります。しかも、この記事は、その講座の担当の先生がまとめてあるのです。こういう『会報』は、日本でも稀だと思っています。

 文学部もいずれ伊都キャンパスに移転します。他の大学卒業生から出身大学の実情を聞かれた時、自信を持って答えることが出来るのです。

 こういう主旨を文学部の学生諸君に話して勧誘をしてきました。大体、一番大切な大学の卒業生が、小学校・ 中学校・高等学校と異なり入会が任意だというのがおかしいのではないかとさえ思っています。入会金のみの納 入で、他の大学のように年会費の納入は不要です。いわば終身会費ともいえます。同窓会入会の督励の件につい ては、今後とも努力していきますので、会員の皆様もご支援の程お願いいたします。

 別件として、私が会長就任の時、事務局の仕事を一手に引き受けてご尽力頂いた副会長の髙木信宏氏が都合に より退任され、代わって社会学講座の高野和良氏にお願いしましたことをご報告いたします。髙木氏には、今までのご労苦に感謝申し上げます。

 この原稿は、『会報』を三月の卒業生に配付するために、平成二十四年の十二月締切で書いています。そこで 記憶に残る今年の回顧事項を一つ記載します。

 今年のビッグニュースは、やはり十月八日に発表された京都大学の山中伸弥教授のノーベル医学生理学賞の受賞であったと思います。

 山中教授が開発した「人工多能性幹細胞(ips細胞)」について、翌日の新聞は、「傷ついたり失われたりした体の機能を回復させる再生医療の夢が大きく膨らんだ」とし、さらに「難しい病気の原因究明や、薬の効果、 毒性を調べる細胞実験など、幅広い分野の研究を前進させたほか、生命の成り立ちの謎に迫る研究も発展させる など無限の可能性を秘めている。」(西日本新聞十月九日付朝刊)と報じていました。このことは、東日本大震災 以来沈んでいた国民に大きな喜びを与え、関心と期待、さらには将来に対する希望を持たせることになりました。

 さて、文学部同窓会長として二年間努力してきましたが、感じることは、大学当局が同窓会の活動を存分に理解して頂いていることです。実際に同窓会側から申し出たことに関しては、真摯に誠意をもって対応され、むしろ十分な財力のない同窓会に何らかの支援が出来ないかとさえ常に配慮して頂いております。このことに感謝しながら、次回の同窓会総会も会員の皆様が気軽に参加できるように、しっかりとした計画のもと開催しますのでご支援をお願いいたします。

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